21/IV/2020
(1)「・・・このメーキステウスMekisteusはかつて、戦場で斃れたオイディポデース(δεδουπότος Οἰδιπόδαο)の葬いのためテーバイThebaiに行き、カドモスKadmosの子らを悉く打ち負かした勇士であった。」(Il. 23.679-680=松平/パトロクロスPatroklosの葬礼競技; Hesiodos, frg. 192-193 Merkelbach/West)──オイディプースは事実の発見後も生き延び、「戦場で」斃れたのか。戦場はテーバイ?
(2)「私(オデュッセウスOdysseus)はまた、オイディポデースOidipodesの母、それと知らずしておのれの息子の妻となり、恐るべき大罪を犯した美貌のエピカステーEpikasteにも会った。息子は父を殺した後、母を娶ったのであったが、神々は忽ち(ἄφᾱρ)それを広く世に知らしめられた。オイディポデースは、呪わしき神意によって苦しみを味わいつつ、麗しいテーベーの町でカドモスの民を治め続け、母は苦悩のあまり高い梁に綱を組んでだらりと垂らし、冥府の門を護る恐るべきハーデースHadesの館へ降ったが、息子に残していったのは、やがて母のエリーニュエスErinyesが果たすべき、あらゆる禍難の苦しみであった。」(Od. 11.271-280=松平/ネキュイアーNekyia)──「忽ち」とはどのくらい後のことか。四人の子供を産んだのはエピカステー=イオカステーIokasteか。
(3) オイディプースはエウリュガネイアEuryganeiaと再婚し、四人の子供を作った。(Paus. 9.5.11 =Davies EGF Oidipodeia F2; cf. Davies 20032, 19-21; Peisandros =Schol. Eur. Phoin. 1760)──(2)「オデュッセイアーOdysseia」から生じる疑問に応える別伝。
(4) オイディプースは、おそらく目を潰して退位した後も王宮で暮らし続ける。二人の息子たちから度重なる侮辱を受け、二度に亙って彼らに呪いをかける。(Davies EGF Thebais; cf. Davies 20032, 22-28)──エテオクレースEteoklesとポリュネイケースPolyneikesが戦死した時、オイディプースがまだ生きていた可能性。
(5)「・・・しかしこの種族(第四の種族、英雄たち)も、忌わしき戦さと恐るべき闘いとによって滅び去った──或る者はカドモスの国土、七つの門のテーベーの城下で、オイディプースの家畜をめぐる戦いに斃れ、或る者は髪麗しきヘレネーHeleneのために、船を連ねて大海原を越え、トロイエーTroieに渡って果てた。」(Hesiodos, erg. 161-165=松平)──「オイディプースの家畜」とは?
(6)「だが女怪(エキドナEchidna)はまた(キマイラChimairaの次に)、テーバイ人らの破滅の元、忌まわしいフィックスPhix(=スフィンクスSphinx)を産んだ、オルトロスOrthrosの愛を受けて。またネメアーNemeaの獅子を産んだが・・・」(Hes. theog. 326-327=廣川)──テーバイのスフィンクス。
(7) 謎をかけるスフィンクス。(Pind. frg. 177d Maehler)──オイディプースとスフィンクスおよび謎解きを結びつける最初の文献。
(8) オイディプースはテウメーッサTeumessaの牝狐を殺した。(Korinna, Page PMG frg. 672)
(9) クレオーンKreonの子ハイモーンHaimonを(スフィンクスは破滅させた)。(Davies EGF Oidipodeia F1)──オイディプースが現れる前の犠牲者。
(10)「この故にラーイオスLaiosを運命の子(オイディプース)は、彼と遭遇した時に殺し、ピュートーPytho(デルフォイDelphoi)でそのかみ下された神託を成就したのだ。」(Pind. O. 38-40=内田)──オイディプースの運命にデルフォイの神託というモチーフを持ち込んだ最初の文献。
(11) アイスキュロスAiskhylos、テーバイ四部作「ラーイオス」「オイディプース」「テーバイに向かう七将」、サテュロス劇「スフィンクス」。とりわけ「オイディプース」「スフィンクス」。(Aisch. frg. Laios; frg. Oidipous; Septem; frg. Sphinx)──前467年上演。テーバイ神話群を貫く三つの呪いによって全体が統一されていたと推定される。ハルモニアーHarmoniaに贈られた首飾りの呪い、クリューシッポスChrysipposをめぐる、ペロプスPelopsのラーイオスLaiosに対する呪い、オイディプースOidipousの二人の息子たちに対する呪い。
(12) アイスキュロスAiskhylos「テーバイに向かう七将」(Aisch. Septem)──盲目になったオイディプースは、自分を冷淡に扱った二人の息子に対し、二人が互いの手にかかって死ぬだろうと呪いをかける。二人は毎年交互にテーバイを治める取り決めを結ぶが、エテオクレースEteoklesは時が来ても王位を譲らず、ポリュネイケースPolyneikesはアルゴス王アドラストスAdrastosたちと共にテーバイを攻める。劇はここから始まる。コロスchorosはテーバイの乙女たち。兄弟は相討ち。葬列にアンティゴネーAntigoneとイスメーネーIsmeneが伴う。(ポリュネイケースの葬礼禁止、アンティゴネーが埋葬を決意、はおそらく後世の付加。)
(13) ソフォクレースSophokles「オイディプース王」(Soph. Oid.t.)──おそらく前420年代上演。コロスchorosはテーバイThebaiの長老たち。オイディプースはスフィンクスSphinxの災いからテーバイの町を解放し、王として迎えられ、先王ラーイオスLaiosの妻イオカステーIokasteを妻とする。疫病。クレオーンKreonをデルフォイDelphoiに派遣し、神託を得る。子供に手を引かれて来たテイレシアースTeiresiasは、疫病の原因はオイディプース自身だという。イオカステーによれば、ラーイオスは息子に殺されるとの神託があったが、赤子の時に山中に捨てた、ラーイオスは三叉路で盗賊に殺された、一人だけ羊飼いが逃げ帰った。オイディプースは、デルフォイで父を殺し母と交わるという神託を受けた、三叉路で老人を殺した、という。コリントスKorinthosの羊飼いが王ポリュボスPolybosの死を知らせる。テーバイの羊飼いは、イオカステーに頼まれ、鉄串で両足を貫かれた赤子のオイディプースを、コリントスの羊飼いに渡したのだった。事実を知ってイオカステーは縊死、オイディプースはイオカステーの留め金で自ら目を潰す。
(14) ソフォクレースSophokles「コローノスKoronosのオイディプース」(Soph. Oid.K.)──おそらく前402-401年、作者の死後上演。コロスchorosはコローノス市民たち。盲目となったオイディプースはテーバイに住み続けたが、やがてクレオーンKreonによって追放され、アンティゴネーAntigoneとイスメーネーIsmeneに伴われて放浪の旅に出る。アッティカAttikaのコローノス、すなわちエリーニュエス・エウメニデスErinyes Eumenidesの聖なる地に着く。アポッローンApollonの神託で、そこで自分が死を迎えることが告げられていた。コローノス人たちはオイディプースを追い払おうとするが、テーセウスTheseusが保護を約束する。ポリュネイケースPolyneikesがポセイドーンPoseidonの祭壇に来て、自分の側に就くように頼むが、オイディプースは兄弟が互いの手にかかって死ぬだろうと呪う。オイディプースは聖なる森で姿を消す。
(15) エウリーピデース「フォイニッサイ」(Euripides, Phoinissai.)──おそらく前409年、「オイノマーオスOinomaos」「クリューシッポスChrysippos」「フォイニッサイPhoinissai」が上演された。サテュロス劇の題名は不明。七将がテーバイを攻撃する。イオカステーもオイディプースもまだ生きている。コロスはテーバイの女たち。テイレシアースの予言により、クレオーンの子メノイケウスMenoikeusはテーバイを救うために塔から身を投げる。イオカステーIokasteとアンティゴネーAntigoneはポリュネイケースPolyneikesとエテオクレースEteoklesの相討ちを止めようとするが、兄弟はともに死に、イオカステーは剣で自殺する。クレオーンはオイディプースを追放し、ポリュネイケースの埋葬を禁じ、アンティゴネーをハイモーンHaimonの妻にしようとするが、アンティゴネーは父の手を引いて放浪の旅に出る。
(16) スフィンクスの謎とオイディプースの答え。(Hypothesis, Soph. Oid.t./岡)
謎「地上では二つ足、四つ足、声は一つの三つ足。/地を這い、空中、海中を動き回る者は/数あれど、これだけが自分の姿を変える。/歩みが最も多くの足で支えられる時、/四肢の動きが最も鈍い。」
答え「欲せずとも聞け、忌まわしい翼持つ死人のムーサMousaよ、/おまえの罪業の終わりを告げる私の声を。/おまえが言うのは人間、地を這う時は/腹から生まれたばかりの四つ足の赤子。/年をとれば三本目の足の杖で身を支え、/重い首をもたげ、老いた背を曲げる。」
──よく知られているように答えは「人間」である。尤も元来は「二つ足で四つ足、声は一つ」という謎だったと推定される。普通「二つ足」は人間、「四つ足」は動物を指すが、「声は一つ」がヒントになる。答えは「妊婦」。妊婦の足に胎児の足を合わせると「四つ足」になるが、胎児は声を発しない。
正解は「オイディプース」とする解釈もある。オイディプースは、ラーイオスとイオカステーに対しては子(幼年)であると同時に、イオカステーに対しては夫(壮年)であり、自分の子に対しては親(老年)であると同時に兄弟(幼年)であり、いわば三つの世代が彼の中に同時に宿っている。オイディプースはスフィンクスの謎に対し「人間」と答えるつもりで自分を指差した(Schol. Eur. Phoin. 50)。ところがスフィンクスは彼が「オイディプース」という正解を出したと考え、岩から身を投じて死んだ。オイディプースは本当は罪人であって、テーバイの王の姿は見せかけに過ぎない。同様に、彼が自分の知恵でスフィンクスの謎を解いたというのも見せかけであった。知恵に優れた予言者テイレシアースがスフィンクスの謎を解くことができなかったのも、オイディプースがテーバイにまだ現れていなかったため、ということになる。
LIMCの配列法はどの項目も統一されており、オイディプースの項目(Ingrid Krauskopf)もそれに従っている。まず複数場面を表したもの、次いで神話の時間的進行に従って区分・配列。そしてそれぞれの区分の中で、媒体別にほぼ年代順に配置している。多くの場合、前五/四世紀の陶器画、丸彫彫刻、浮彫彫刻、エトルーリアの鏡、遺灰容器、ポンペイなどの壁画、ローマ帝政期の石棺、の順。さらにプリーニウスPlinius、パウサニアースPausaniasなど古代文献に記され、現在は失われた重要な作品も組み込んでいる。
I(1-2)複数場面
II(3-5)幼児オイディプース
III(なし)デルフォイにおけるオイディプース
IV(6-9)ラーイオス殺害
V(10-81)オイディプースとスフィンクス
A(10-72)謎解き
1(10-45)オイディプースとスフィンクスだけ
2(46-67, Add.1=50A, Add.2=63A)オイディプース、スフィンクス、その他の人々
3(68-72)パロディー
B(75-81)スフィンクス殺害
VI(82-88)冒瀆行為の発見
VII(89-91)オイディプースとアンティゴネー、コローノスのオイディプース
VIII(92-97)二人の息子の戦死場面におけるオイディプースとイオカステー
IX(98)オイディプースの墓碑
オイディプースが表されていなくても、アイスキュロスがテーバイ神話群を扱った四部作と関係づけられる図像(72a)などの関連遺品も視野に入れなければならない。
註:以下、下線を付した名前は遺品に記銘があることを示す。原綴が異なる場合、[ ]内に記す。
I(1-2)複数場面
1 =Laios 7* Romaの石棺の蓋。前220年頃。現Musei Vaticani。(左から)Laios、Apollonの神託を伺う。Laios、子供(Oidipous)を捨てる。羊飼い、Oidipousを見つける。Oidipous、Korinthosを出る、羊飼いは引き留める。/柱。/(右から)Oidipous、Laiosを殺す。Oidipous、Sphinxの謎を解く。Korinthosの羊飼い、Korinthos王Polybosの死を知らせる。Oidipousが自分の顔を指さす仕種は謎解きの場面で頻出し、謎に答えていることを示すと考えられる。この場合答えは「人間」または「Oidipous」で、「妊婦」ではない。
2 =Agnoia 2* 壁画。エジプト出土。紀元2世紀。現Cairo。(左から)Oidipous、Thebaiの町に着き、Sphinxの謎を解く。Zetema(探求)とThebai(眼差しによって次の場面に導く)。Agnoia(無知)。Oidipous、Laiosの喉に剣を突き立てて殺害。
II(3-5)幼児オイディプース
3* 陶器画、Attika赤像式。前450年頃。(A面)Euphorbos、Oidipousを抱いて歩く。(B面)鬚の男(Korinthos王Polybosか)。EuphorbosがLaios、Polybosいずれの羊飼いかはっきりしないが、Senecaの悲劇「Oedipus」にLaiosの家来としてPhorbasなる者が現れる。Euphorbosは持っている槍でOidipousの足を貫くのかも知れない。
4* ホメリック・ボウル(Homeric bowl)。前3世紀後半/前2世紀前半。Tanagra出土か。(右から)イルカに乗ったNereis。Polybosの妻Periboia(Meropeではない)、Hermesから子供Oidipousを受け取る。Periboia、PolybosにOidipousを渡す。「ホメーロス杯」(Homeric bowl)はテラコッタの椀で、型押しでホメーロスHomerosの場面が描かれているためこのように呼ばれる。
5* 彫石。紀元前後。Korinthosの羊飼い、樹の下に置かれた赤子のOidipousを見つける。
III(なし)デルフォイにおけるオイディプース
(かつて一遺品がそのように解釈されたが、否定された。)
IV(6-9)ラーイオス殺害
6 陶器画、Attika赤像式、前440年頃。
7 陶器画。アープーリアApulia赤像式。存疑。
8 =Laios 4* 壁画。ポンペイPompeii出土。中央に、左に走る馬車に乗ったLaiosを攻撃するOidipous(ローマ風の兜、クラミュスχλαμύς)。画面の左右に一人ずつLaiosの従者。
9 =Laios 6* モザイク。カンパーニアCampania出土。(左から)Laiosを攻撃するOidipous(剣)。逃げようと右に馬車を駆るLaios(槍)。
V(10-81)オイディプースとスフィンクス
A(10-72A)謎解き
1(10-45)オイディプースとスフィンクスだけ
10* 陶器画、Attika赤像式。前470年頃。(左から)イオーニアーIonia式円柱に乗ったSphinx。対峙するOidipous
(杖)。B面はSatyros一人だけ。A面の円柱の基盤にkalos(きれい)とあるので、サテュロス劇と関係があるかも知れない。
11* 陶器画、Attika赤像式。前470-460年頃。(左から)イオーニアー式円柱に乗ったSphinx。斜(はす)に構えたOidipous(ペタソスπέτασος=旅装)。Oidipousのポーズは逃げたい気持ちを表すか?
12* 陶器画、白地レーキュトスλήκυθος。前450年頃。(左から)墓碑?に乗ったSphinx。対峙するOidipous(ペタソスπέτασος=旅装、槍、剣)。
13* 陶器画、Attika赤像式。前440年頃。(左から)円柱に乗ったSphinx。対峙するOidipous(petasos=旅装、槍)。
14* 陶器画、Attika赤像式。前440年頃。(左から)ドーリスDoris式円柱に乗ったSphinx。対峙するOidipous(petasos=旅装、槍、剣)。
15 陶器画、Attika赤像式。
16 陶器画、Apulia赤像式。前350年頃。
17* 壁画。Pompeii出土。前20/前10年頃。現物は失われた。描き起こし。右にThebaiの町。塔の上にSphinxが乗る。左の地上に立つOidipousは自分を指さすポーズ。
18 彫石、ガラス。
19* 陶器画、Attika赤像式。前470-460年頃。現Musei Vaticani。(左から)岩に座ったOidipous [Οιδιποδες](鬚、petasos=旅装、杖)。イオーニアー式円柱に乗ったSphinx。Sphinxの口から文字:κ]αὶ τρί[πουν(そして三つ足の・・。「オイディポデス」は彼の科白=回答とも考えられる)。外面はSatyrosたち。
20 陶器画断片、Attika赤像式。前5世紀中頃。
21* 彫石(印影)。前1世紀。(左から)岩に座ったOidipous(自分を指差す)。円柱に乗ったSphinx(ごく小さい)。
22* 陶器画、Attika赤像式。前450-440年頃。(左から)岩に乗ったSphinx。対峙するOidipous(petasos=旅装、槍)。
23* 陶器画、Attika赤像式。前440年頃。(左から)岩に乗ったSphinx。斜はすに構えたOidipous(petasos=旅装、槍)。
24 陶器画、Attika赤像式。前340-330年頃。
25* 彫石。エトルリア製スカラベscarabée。前4世紀。(左から)Oidipous(自分を指差す)。岩に乗ったSphinx。
26* 彫石(印影)。イタリア製。紀元前後。(左から)岩に乗ったSphinx。Oidipous(自分を指差す。剣)。
27 彫石。イタリア製。前3/前2世紀。
28 彫石。イタリア製。帝政初期。
29* terracottaの椀、Terra sigillata。紀元1/3世紀。(左から)岩に乗ったSphinx。Oidipous(自分を指差す。剣)。
30 ランプ。紀元1世紀。
31* ストゥッコstucco浮彫。紀元70-79年頃。Pompeii出土。(左から)Oidipous(自分を指差す。槍)。岩に乗ったSphinx。足許に死体が横たわっている。
32* モザイク。Ostia出土。紀元2/3世紀。(左から)Oidipous(自分を指差す。槍)。岩に乗ったSphinx。Sphinxの左前脚の下に髑髏されこうべがある。
33* Romaの石棺の蓋。紀元3世紀。(右)左に基台に乗ったSphinx。右にOidipous(自分を指差す。兜、鎧)。(中央)左右に配された二人の子供の殺害を考えるMedeia。(左)不詳。人物二人が対峙する。
34* 金製バックル。紀元4世紀後半。(左から)Oidipous(自分を指差す。槍)。岩に乗ったSphinx(右手を上げて話す仕種)。
35* 浮彫。Romaの石棺。Athenai製。紀元2世紀第3四半期。(左から)地上にいるSphinx(左前脚をOidipousの方に伸ばす)。Oidipous(自分を指差す。左手にharpeを持つ)。
36 浮彫。墓の一部。紀元2/3世紀。
37* 浮彫。墓の一部。紀元2/3世紀。(左から)Oidipous(自分を指差す。槍)。岩から降りて飛びかかろうとするSphinx。二人の間に屍体。Sphinxの足許に頭蓋骨が一つ。
38* 浮彫。墓の一部。紀元2/3世紀。(左から)岩に乗ったSphinx。馬の手綱を執るOidipous。馬は右を向いている。
39* 陶器画、Attika赤像式。前460-450年頃。(左から)岩に座ったOidipous(petasos=旅装、槍)。岩に乗ったSphinx。
40* 陶器画、Klazomenai黒像式。前540年頃。(左から)Oidipous(鬚)。地上にいるSphinx。
41* 陶器画、Campania黒像式。前490年頃。(左から)地上にいるSphinx。折りたたみ椅子に座ったOidipous。
42* 陶器画、Attika黒像式。前480-470年頃。(左から)岩の上のSphinx。対峙するOidipous。
43 陶器画、Attika黒像式白地レーキュトスlekythos。前470年頃。
44* 陶器画、Attika赤像式。前450年頃。(左から)Sphinx、対峙するOidipous。A, B両面とも同じ図柄。
45* 陶器画、Attika赤像式。前480-470年頃。断片4点。(左から)Oidipous、Sphinx。
2(46-67, Add.1=50B, Add.2=63A)オイディプース、スフィンクス、その他の人々
46* 陶器画。前530年頃。(左から)円柱の上のSphinx。折りたたみ椅子に座ったOidipous。頭まで衣をまとった、大小様々な大きさの8人の人物は、テーバイの女たちからなるコロスchorosか。B面は、向かい合う2頭のSphinx。
47 陶器画。Campania黒像式。前500-490年頃。
48 陶器画。Attika黒像式/赤像式。前6世紀末/前5世紀前半。テーバイ人たちの集会。Oidipousと特定できる人物はいない。
49* 陶器画、Attika赤像式。前460年頃。中央に円柱に乗るSphinx。その左右に立った人物と座った人物が一人ずつ、計4名。右の立った人物はpetasosをつけているのでOidipous。左に座るのはKreonか。
50* 陶器画、Attika赤像式。前450-440年頃。中央でOidipous(右向き、petasos、槍)と円柱に乗るSphinx(左向き)が対峙。その左右に一人ずつ男が立つ(Oidipousの従者か)。
50A* 陶器画、Attika赤像式。(右から)Oidipous(左向き、petasos、槍2本)と円柱に乗るSphinx(右向き)が対峙。Oidipousの従者(右向き、petasos、槍2本)。
50B =Oidipous add.1* 陶器画、Attika赤像式、前5世紀後半。(左から)Kreon(おそらくTeiresiasではない)、Kreonの子?、円柱に乗ったSphinx(右向き)、Oidipous(左向き、椅子に座る、槍2本)、Apollon(立つ、王笏)。
51* Etruriaの鏡。前300年頃。(左から)Oidipous(右向き、座る、槍、左手人差し指で自分を指さす?)、Doris式円柱に乗ったSphinx(左向き)、従者(左向き、座る、右手人差し指で自分を指さす)。
52 陶器画、Attika赤像式。前440年頃。
53* 陶器画、Attika赤像式。前440年頃。(右から)高い位置にいるSphinx(左向き)とOidipous(右向き、岩に座る、petasos、槍2本)が対峙。Oidipousの従者の一部が残存(右向き)。
54 陶器画、Attika赤像式。前420-410年頃。
55 陶器画、Attika赤像式。前4世紀第1四半期。
56 陶器画、Attika赤像式。前340-330年頃。
57 =Kreon 3* 陶器画、Apulia赤像式。前4世紀第1四半期。(右から)Sphinx、Oidipous(pilos)、Kreon、Oidipousの従者(pilos)、Teiresias(白髪)、Iokaste(考え込むポーズ)。Sphinxだけ左向き、あとはすべて右向き。
58a* Etruriaの遺灰容器、Volterra製。前2世紀第1三半期。(右から)Oidipous(左向き)、Sphinx(右向き、両前脚の間に犠牲者の頭部)、Etruriaの女神(右向き、松明)。
59 terracotta製骨壺、Etruria、Volterra製。前1世紀後半。
60 彫石、ガラス。前1世紀/紀元1世紀。
61 壁画。失われた。紀元1世紀。
62* 壁画。Stabiae, Villa San Marco出土。Thebaiの町の建物群。(左から)建物の上のSphinx(右向き)、地上に立って対峙するOidipous。
63* 壁画。Roma出土。紀元2世紀後半。右上の正方形の区画。(左から)岩の上のSphinx(右向き、話す仕種)、従者(右を向く)、馬、対峙するOidipous(人差し指で自分を指さす、槍)。
64* 浮彫。Romaの石棺。紀元2世紀末。(左から)岩の上のSphinx(右向き)、従者(右を向く)、対峙するOidipous(槍2本)。
65 粘土の牝型。Ostia出土。93*参照。
66* 陶器画、Etruria赤像式、前380-360年頃。(左から)Oidipousではない男(顔はSphinxの方=右を向くが、左に逃げようとする)、Sphinx(左向き)、おそらくOidipous(Petasos。Sphinxの方=左を向き、様子を見ている)。
67* 陶器画、Apulia赤像式、前340-330年頃。(右から)Oidipous(左向き、petasos、話す仕種Redegestus)、花の上にSphinx(右向き、polos)、Erinys。
3(68-72A)パロディー
68* 陶器画、Attikaを模したBoiotia赤像式、前450-440年頃。(左から)上方にSphinx(種々の混合怪物。Kassmiaと書いてある)、下方にOidipous(下半身が犬のよう)。
69* 陶器画、Korinthos製、前5世紀後半。(右から)円柱に乗ったSphinx、下方にOidipous(剣、外衣)。一般にSphinxが自慰をして射精すると解されている(Moret; Krauskopf)。しかしギリシアではSphinxは前6世紀以降例外なく、パロディーにおいても、牝である。なので乳房・母乳を意図した可能性も否定できない。
70 =Kreon 2* 陶器画、Apulia赤像式。前370-360年頃。(左から)Oidipous(右向き、右腕を上げて話す仕種。両足が腫れている)、Kreon(右向きに岩に座るが、後ろ=Oidipousの方を振り返って話している)、Sphinx [Sphix](岩の上で左向き。乳房。尻尾がphallosになっている)。Phlyax喜劇の一場面か。
71* 陶器画、Campania赤像式。前4世紀第3四半期。(左から)Oidipous(右向き、Pilos。Phlyaxの衣裳とphallos)、Sphinx(岩の上で左向き。乳房)。Phlyax喜劇の一場面。
72a* 陶器画、Attika赤像式。(左から)岩に乗ったSphinx(右向き)、Thebaiの長老4人(右手で杖をつき、椅子に座る)。おそらくAiskhylosのサテュロスSatyros劇「Sphinx」の一場面。
72b* 陶器画、Attika赤像式。(左から)Oidipous(右向き)、台の上に座ったSatyros(左向き。馬の尻尾)。台にEumasと記されている。役者またはSatyrosの名と解される。
B(73-81)スフィンクスとの闘い、殺害
73 陶器画、Boiotia黒像式。前570-550年頃。存疑。
74 陶器画、Campania黒像式。前500年頃。存疑。
75* 陶器画、Attika黒像式、前470年頃。(右から)Oidipous(槍を振り上げてSphinxを威嚇するが、身体は右を向いており、逃げ腰である)、基台に乗ったSphinx(右向き。両前脚を上げてOidipousに襲いかかろうとする)、Oidipousの従者(傍観者)。
76* 陶器画、Attika赤像式、前440年頃。(右から)Oidipous(槍を翳してSphinxを威嚇するが、身体は右を向いており、逃げ腰)、何かに乗ったSphinx(右向き。両前脚を上げてOidipousに襲いかかろうとする)。
77* 陶器画、Attika赤像式、前5世紀後半。現British Museum。(左から)Aineias [Aineas]、Athena(立つ)、
Oidipous(右手に持つ槍でSphinxを突こうとする。後ろに円柱)、Apollon(上方に座る)、Sphinx(地上にいる)、
Dioskouroi。
78 陶器画、断片、Attika赤像式。OidipousではなくPerseus。削除。
79* 彫石。前3世紀。失われた。印影。(左から)Oidipous(右手に剣を持ち、左手でSphinxの前髪を摑む)、Sphinx(右前脚をOidipousの方に伸ばしているのは嘆願のポーズか、それとも力なき抵抗か)。
80* 彫石、scarabée。前3世紀。塊様式。(左から)Oidipous(右手に剣を持ち、左手でSphinxの首を摑んでいる)、
Sphinx。
81 彫石、scarabée。前3世紀。類似品多数。
VI(82-88)事実の発見
82* 陶器画、Attika赤像式、前450年頃。(左から)男、円柱、Oidipous(玉座に座る)、男2人、Kreon?、Teiresias?。
Sophokles以前のOidipousを扱った悲劇で、TeiresiasがOidipousの前に連れて来られた場面と考えられる(Simon, Schefold)。
83* 陶器画、Sicilia赤像式、前4世紀第3四半期。(左から)使者として来た羊飼い、Oidipous、その左右に娘2人(Antigone, Ismene)、Iokaste、召使い。背景は舞台大道具。円柱が3本立ち、Oidipousの宮殿を示す。
84* 陶器画、Apulia赤像式。前340-330年頃、Dareiosの画家。(左から)Teiresias、その手を引く少年、OidipousまたはKreon。
85a* Etruriaの遺灰容器。アラバスターalabaster(雪花石膏)。Volterra製。前2世紀第3三半期。(左から)Periboia(椅子に座る)、侍女、Kreon、兵士、Oidipous(地面に膝を突く)、その目を突く兵士、兵士、AntigoneとIsmene、
Iokaste、侍女。
85b* Etruriaの遺灰容器。上部を失う。アラバスターalabaster(雪花石膏)。Volterra製。前2世紀第3三半期。85aと左右逆。(右から)Periboia(椅子に座る)、侍女、兵士、Kreon、兵士、Oidipous(地面に膝を突く)、その目を突く兵士、AntigoneとIsmene、その後ろにIokasteと侍女?。
86* 浮彫、墓の角柱の断片。紀元3世紀。現Trier。(右から)Oidipous(玉座に座り、2本の指を空ろな両目の上に置く)、若い男。
87 壁画。Pompeii出土。舞台場面。Oidipous、Iokaste。
88 terracotta製悲劇仮面。Lipariの墓で出土。盲目の?男。おそらくOidipous。
VII(89-91)オイディプースとアンティゴネー、コローノスのオイディプース
89 =Antigone 3* 浮彫。前4世紀後半。Taranto出土。(右から)Oidipous、その手を取るAntigone。
90 =Antigone 2* 壁画。前2世紀第4四半期。Delos島出土。(左から)Oidipous、その左右に二人の少女(AntigoneとIsmene)、Iokaste。いずれも悲劇の仮面と衣裳を着けている。
91 =Ismene 2* 陶器画、Apulia赤像式、前4世紀中頃。Poseidon神域の祭壇。(左から)Kreon、Ismene/Antigone、
Oidipous(盲目、白髪)、Antigone/Ismene、Polyneikes、その上方にErinys(復讐の女神、有翼)。Sophokles「KolonosのOidipous」の一場面。PolyneikesがOidipousに、自分に味方するように頼みに来るが、Oidipousは拒絶し、息子二人に呪いをかける。
VIII(92-97)二人の息子の戦死場面におけるオイディプースとイオカステー
92* 浮彫。Romaの石棺。紀元2世紀末。(左から)「1 二人の息子の争いを分けようとするIokaste」。
Polyneikes/Eteokles、Iokaste(乳房をはだける)、その後ろにOidipous、Antigone、Eteokles/Polyneikes。「2 梯子を登るKapaneus」。「3 戦車ごと地中に飲み込まれるAmphiaraos」。戦車の上方には戦死した兵士たち。「4 EteoklesとPolyneikesの死」。斃れるPolyneikes、抱える兵士、兵士2人、Eteoklesの死体を運ぶAntigoneとIsmene。
93* 粘土の牝型。Ostia出土。紀元3世紀初め。(右から)Oidipous、二人の息子(PolyneikesとEteokles)。
94* ホメーロス杯の断片。前2世紀第1三半期。Oidipousが戦場に連れてこられたところ。右端に楯の一部が残る。上方に3行残る文章に「妻と二人の息子」の文言がある。
95a* 浮彫。Etruriaの石棺。前4世紀後半。左から3-4人目がOidipousとIokasteか。
95b* 浮彫。Etruriaの石棺。前4世紀後半。
96* 浮彫。Etruriaのterracottaの破風。Talamone出土。前2世紀第2四半期。右から二人目がOidipous(両腕を拡げる)。左右に死んだ二人の息子(PolyneikesとEteokles)が兵士たちに抱きかかえられる。
97a* 浮彫。Etruriaの遺灰容器。Volterra製。前2世紀/前1世紀初め。中央にOidipous、その左右に倒れ込むPolyneikesとEteokles、両端はEtruriaの女神。
97b =Eteokles 27* 浮彫。Etruriaの遺灰容器。Volterra製。前2世紀/前1世紀初め。
97c =Eteokles 28* 浮彫。Etruriaの遺灰容器。Volterra製。前2世紀/前1世紀初め。
97d =Eteokles 29* 浮彫。Etruriaの遺灰容器。Volterra製。前2世紀/前1世紀初め。
IX(98)オイディプースの墓
98a* 陶器画、Lukania赤像式。前390-370年頃。中央にOidipousの墓、左にAntigone、右に若い男(Polyneikes? Eteokles?)が立つ。墓碑に「Oidipous」とある。基台の上にレーキュトスlekythos二つ。基台に楯と脛当てが立て掛けてある。「戦場で斃れたOidipous」と関わるか。
98b* 陶器画、Lukania赤像式。前390-370年頃。中央にOidipousの墓、左右に若い男が一人ずつ立つ。墓碑に「Oidipous」とある。
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