ICU の授業「西洋古代美術」で、古代ギリシアローマ美術に関する古代文献の選文英訳集 (J. J. Pollitt, The Art of Ancient Greece. Sources and Documents, 1990, xiv + 298 pp.) のコピーを各自一冊ずつ渡し、その翻訳を一学期間毎週提出するという形式を一度だけ試みたことがある。それぞれの興味に従ってさまざまな時代、画家彫刻家工藝家建築家、記述内容、から自由に選ぶ。無論講義では並行して通史的な話題を提供した。巻末には各章各節に対応した充実した文献表も完備されていた。
学期の3分の2ほど過ぎた頃にそれまでに提出された全員分の原稿を原書の順に並べ直してコピーしたものを全員に配った。受講生のほとんどは真面目に内容に向き合って徐々に向上していっていた。そして最終回の3週間後に最終レポートを提出。
ただこの方式はあまりうまく行かなかった。原因は各自が自分で専門論文を選んで集めるハードルの高さだったと思う。そのため多くの人がネット特にWikipediaで当該美術家などの項を頼りにレポートをまとめた。それでも ICU の学生は優秀なので一定の水準は確保できており、面白い図版を探し出してきた者も数人いた。しかし後に自分のサイトを立ち上げてから始めたように、私が読んで欲しい候補文献の pdf を網羅的にサイトにアップしておけば、少なくとも2-3本ずつ読み、それを最終レポートに反映させることが容易にできただろうと思う。
余談だが、訳文集を配付するまでは一人だけ自動翻訳を使った無意味な文章を提出していたやつがいたが瞬殺され、その次から姿を消した。今なら自動翻訳も格段に良質になっているし AI もあるのでこういう授業をするつもりはない。というかもう授業自体することはないが。

