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法学部時代

 

大学での第二外国語廃止の動きがあるので、50年前早稲田大学第一法学部時代の話をとはずがたり──

 

・第一外国語はドイツ語。教科書は Deutsche Sprachlehre für Ausländer*。文法もすべてドイツ語で説明。今も書棚にある。関口存男の3巻本で補ったがこちらはもうない。

*Heinz Griesbach, Dora Schulz, Deutsche Sprachlehre für Ausländer, Grundstufe in einem Band, Max Hueber Verlag, München, 1968, 1973

 

・第二は英語。Thomas Hardy の短篇(当時は知らなかったが大澤衛はその道の大家だったらしい。『日蔭者ジュード』岩波文庫などがある)のほか、英訳による世界短篇小説集が一番印象に残っている。たぶんアメリカ人の講師で、毎週一篇読んで批評を書かせた。客観的・理論的、つまり批評的でなければ冷たく減点された。教科書はまだトランクルームにある。

 

・英会話は別途商学部内の語研(語学教育研究所)で習った。イギリス人だったと記憶する。

・語研では矢島文夫にアラビア語を習った。千夜一夜物語を原書で読みたかった。亞英辞書も揃えたがドイツ語やフランス語に集中するため脱落。田村すゞ子のアイヌ語も出たかったが断念した。一時モスクワ赴任の話があって父が勉強していたロシア語も囓るだけに終わった。ギリシア語はアテネフランセで校長の松本悦治に手ほどきを受けた記憶がある。

 

・一般教養[哲学]は川原栄峰『哲学以前』。ギリシア哲学、Sokrates 以前に重点。

・[文学]は呉茂一『ギリシア悲劇』現代教養文庫。名著。翌1974年にギリシア国立劇場の出張公演が東京のNHKホールであり、Aischylos, Agamemnon アガメムノーン; Sophokles, Oidipous Tyrannos オイディプース王; Euripides, Troades トロイアーの女たち、全部見た。だが古代ギリシアを専門にするのは10年以上後のことになる。

 

・[経済学]はマルクス経済学。教科書は大島清編『経済学』。『資本論』岩波文庫も読んだが歯が立たなかった。後に公務員試験のために根岸隆ほか『近代経済学』や Paul Samuelson, Economics の原書と都留重人の翻訳を読んだりした。

・[政治学]もマルクス政治学だった。講師は田口富久治、教科書は忘れた。

 

・体育は乗馬とボート。乗馬は田無の馬場、ボートは戸田ボート場に通った。

 

・ゼミは2年間フランス法、中村紘一。憲法/行政法、刑法/刑事訴訟法。主に Que sais-je? 講読。前にも記したがかなり長い章を翻訳したレポートが残っている。教科書はなぜかもうない。

・フランス語は東京日仏学院に都合5年通った。当時市ヶ谷に住んでいて歩いて通えた。最初の教科書は Mauger rouge**。フランス映画をたくさん見た。Georges Franju, Thérèse Desqueyroux (1962); Robert Bresson, Les Dames du bois de Boulogne (1945); Journal d'un curé de campagne (1951) など。後年ローマ滞在中にテレヴィで Bresson 特集があり、ほぼ全作を見た。録画したVHSがトランクルームにある。

** G. Mauger et al., Le français et la vie (Mauger rouge), 1-2, Librairie Hachette, 1971-1972