国際基督教大学で科研費を2つ(基盤B+挑戦的萌芽)受けていた時に特別研究員(SPD, PD, DC2, DC1)の審査員を2年したことがある。極めて優秀な院生たちはすでに採用が決まっており、私が配属されたのは人文系の最後に残った人たちを扱う部署で哲学歴史文学美術音楽民俗民族などあらゆる専門の院生が次々と自分の研究の説明に現れた。
その場にいる委員の中で専門が一番近い人が質問などを主導し、多くの場合最終的評価にも影響を与えた。私は自分が通した美術系の人たちの名前をほぼ全員覚えている。ほとんどが女性だった。その多くがその後常勤職に就いて時に SNS などに活動が流れてくる。他方審査員の名は伏せられておりよほどの有名人でもない限り黒子でしかなくその名は彼女たちの記憶にはない。
私が数人の先生方に自著『古代ギリシアのブロンズ彫刻』を差し上げたのに対し、そのうちの一人 谷川多佳子さんが後日郵便で自著『デカルト 方法序説』(岩波文庫)を恵贈して下さった。